ビットコインをつくるマイニングを知ろう

マイニングはビットコインを生み出し、ブロックチェーンを守ってくれます。ここでは、マイニングの具体的な仕組みを説明します。

マイナーはネットワークの守護者になる

マイナーはビットコインのネットワークですべての取引の認証作業を行っています。ビットコインの認証作業は、コンピューターの計算力を使って行われます。マイナーはこの計算力を上げることにより、ブロックを見つけて報酬を受け取る確率を高めています。マイナーは、ユーザーが行った取引に対して認証作業を行い、認証が完了した取引はネットワークに承認されます。このため、ビットコインのネットワークはマイナーなしで正常に機能しません。マイナーは取引を監視し、ネットワークのセキュリティを保証します。取引は、送信者からネットワークに配信され、マイナーがこの取引に不備がないかを確認します。マイナーが認証できなかったものは不正な取引となり、台帳にも残りません。

ハッシュレートで表される計算量

マイニングの計算量はH/sの単位で表されます。Hはハッシュの略で、マイニングの計算量を指します。ハッシュ関数を使った演算を1回行うと、1Hashというようにカウントされます。sはセカンド（秒）の略です。1TH/sならば、毎秒1テラ回の計算を行っているということになります。この速度をハッシュレートといいます。

マイナーってだれがやっているのか

仮想通貨では、ほとんどの場合、誰でもマイナーになることができますが、今では趣味でやっている人よりも、事業化してマイニングを行う個人や法人が多いようです。

計算力はスーパーコンピューターを超える

ビットコインの認証作業は、コンピュータ―の計算量に左右されると説明しましたが、2009年の誕生以来、認証作業に使用される総計算量は増え続けています。マイニングは当初、マイナーの自宅のパソコンを使ったものがほとんどでした。しかし、ビットコインの価格上昇とともに、成功するとビットコインが得られるマイニングにも注目されるようになりました。マイナーが競争したことで総計算量も大幅に伸びていてパソコンでマイニングすることは事実上不可能になりました。現在は、マイニング専用機器ASIC（Application Specific Integrated Circuit)が開発され、マイニング用コンピューターの主流となっています。これにより、計算量は爆発的に上昇し、マイニングに限っていえばスーパーコンピューターをしのぐほどに成長しています。例えば、日本のスーパーコンピューター「京」は世界で8番目の計算量を誇るコンピュータ―ですが、マイニングの用途に限ると、専用のコンピューターには勝てません。さらに、世界の1位から10位のスーパーコンピューターを用いてもマイナー全体の計算量の半分にも満たないと計算されています。

誰でも参加できるマイニング

ビットコインの特徴の一つは、誰でもネットワークに参加できることです。インターネットさえあればすべての人がどこからでも、ビットコインのネットワークにアクセスできます。マイニングも同様にユーザーが自由に参加できます。マイニングには電気代や専用設備などのコストがかかるため、電気代の安い中国、ベネズエラや寒冷であるためマイニング用のマシンの冷却効果がいいアイスランド、または自然エネルギー発電が活発な北欧諸国などが、マイニングに適している地域といわれています。ちなみに日本では、電気代が高いため、国内でビットコインのマイニングを行っている人はあまりいません。マイニングの参加は自由である一方、収益の上がらないマイナーは自然に離脱していきます。ビットコインの登場した初期の時期は、多くの人は趣味程度にマイニングを行っていたといわれています。しかし現在は、マイニングの競争が激化し、亜イニングファームと呼ばれる専門の企業が産業を形成しています。

マイナーの収益を上げるためには、高性能でさらに電気消費量が少ないコンピュータ―が必要です。また、電気料金が安い地域でマイニングを行うことがカギになります。マイニングの参加は自由ですが、収益を確保するためのハードルは高くなっています。

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マイニングファームの影響力

マイニングファームが巨大化するのと同時に、その経営者もビットコインのネットワークに対して大きな影響力を持つようになりました。中国には世界最大級のマイニングファームがあり、24時間365日コンピュータ―を稼働させてマイニングを行っています。このマイニングファームを運営するBitmainは、大量のマイニング機器を抱え、膨大な計算量を誇ります。大規模なマイナーは、ビットコインネットワークに大きな影響力を持ちます。2017年8月にビットコインを分裂するきっかけをつくったのは、Bitmain最高経営責任者のジハン・ウー氏でした。一方、電気代が比較的安いアメリカを拠点とすMGT Capital Investmentが運営するマイニングファームも有名です。同マイニングファームの運営責任者ジョン・マカフィー氏は、初期の頃からビットコインにかかわっており、ジハン・ウー氏とも親交があります。この2人は、ビットコインのマイニング産業におけるキーパーソンといえます。

ビットコインのマイニングファームは、多くのマイニング機器を抱え、大規模な設備投資を行っています。ビットコインの価格が上昇している時期は、利益も大幅に上昇します。一方、ビットコインの価格が急下落した場合、多くの借金を抱える可能性もあります。

おわりに

ビットコインのネットワークにはマイナーが必要不可欠です。しかし、マイナーはボランティアではなく、収益を得る団体です。マイニングに収益性がなくなれば、マイナーはネットワークを去ります。そのため、インセンティブとして長期的な収益性をマイナーに与える必要があります。長期的なマイナーの存在は、ネットワークを安定させ、さらなるビットコインの価値向上に寄与します。